SL事業の歴史と沿革

高炉セメント事業
鉱滓の試験成績書
鉱滓類試験成績書第一巻(明治43年)

弊社の高炉セメント事業は、1910年(明治43)の官営八幡製鉄所まで遡ります。

鉄鋼業の黎明期の当時において、すでに高炉スラグ(鉱滓)の資源化・有効活用技術の確立は必須の課題として認識されていました。1901年(明治34)に官営八幡製鉄所・第一高炉が稼働すると、1907年(明治40)には鉱滓煉瓦工場が操業開始、そして1910年に高炉セメントの試験製造が開始されました。

鉱滓の利用は唯々副産物として利益あるのみならず亦た間接に大なる便益あり。其理由は鉱滓は其量甚だ多くして之を捨つる多くの費用を要するが故に若し之を有益に処理するに於ては、其れ一挙両得の策にして之が利用の拡張を講究するは将来極めて重要の事項なりとす。

野呂景義:本邦製鐵事業の過去及未来,鐵と鋼,1914(大正3)

官営八幡製鉄所で始まった、この日本で初めての高炉セメント事業を現在まで継承しているのが日鉄住金高炉セメント株式会社です。100年を超える歴史の中で、幾度かの独立や合併、社名変更を経て現在に至っていますが、弊社は「高炉セメントのパイオニア」としての存在意識を失うことなく、高炉セメントの研究・用途開発・品質向上・普及に努め続けています。

SL事業
当時の生SL施工状況
エスレベル施工写真(1988年)

1975年頃、ヨーロッパで開発された新しい床材であるセルフレベリング材(SL材)の技術が日本に導入されました。

セルフレベリング(自己水平)の名の通り、SL材は高い自己流動性によって床の不陸面を水平面にするもので、従来のコテ均しと比較すると画期的な材料でした。1980年(昭和55)頃には国内のセメントメーカー各社もSL材の本格的な製品開発に着手し始めます。

弊社(新日本製鉄化学工業株式会社)でも同時期にSL材の研究に着手し、1983年に高炉セメントをベースとしたSL材「エスレベル」を販売開始します。ここから当社のSL事業が始まりました。

エスレベルは、プラントで製造したスラリーを生コン車で供給する「生コン方式」であることが特徴の一つです。これは、高炉セメントの凝結が遅いという性質に着目することから生まれた弊社固有の「流動性保持技術」によって実現したものです。可使時間が長く、施工トラブルのリスクの小さいエスレベルは好評を頂き、その後のSL材の国内需要とともに大きく発展していきました。

2004年には、SL事業の母体となったセルフレベリング材を核として、無収縮グラウト材の「エスセイバー」や気泡グラウト材「エコセイバー」といった特色ある建材群を取り扱う「SL事業部」が誕生致しました。SL事業部ではさらに活動を広げ、高炉セメントの普及を目指すとともに新しい様々なニーズにお応えできるよう一層努めています。

事業沿革
社名・組織名 出来事
1910年(明治43) 官営八幡製鉄所 セメントに水砕スラグを利用する研究・試験製造を開始
1913年(大正2) 高炉セメントの製造・販売を開始
1918年(大正7) 前田セメント工場が操業開始(1955閉鎖)
1934年(昭和9) 日本製鉄(株) 官民製鉄合同により、日本製鉄(株)八幡製鉄所が発足
1936年(昭和11) 洞岡セメント工場が操業開始(1964閉鎖)
1950年(昭和25) 八幡製鐵(株) 日本製鉄(株)が解体、八幡製鐵(株)が発足
1956年(昭和31) 八幡化学工業(株) 八幡製鐵から化学セメント事業が独立、八幡化学工業(株)が発足
1958年(昭和33) 小倉セメント工場が操業開始
1970年(昭和45) 新日本製鉄化学工業(株) 新日本製鉄化学工業(株)に社名変更
1983年(昭和58) セルフレベリング材「エスレベル」の製造販売を開始
1984年(昭和59) 新日鐵化学(株) 日鉄化学工業(株)と合併、新日鐵化学(株)が発足
1986年(昭和61) 生SLの製造販売を開始(栗東プラント)
1988年(昭和63) エスレベル事業班が発足
1989年(平成1) 関西(岸和田)、関東(船橋)、九州(福岡)に生SLプラントを設置
1990年(平成2) 関東(横浜)に生SLプラントを設置
1991年(平成3) 東海地区(豊田)に生SLプラントを設置
1995年(平成7) 岸和田の生SLプラントを堺に移設
無収縮グラウト材「エスセイバー」の製造販売を開始
1999年(平成11) 新日鐵高炉セメント(株) 新日鐵化学(株)から独立し、新日鐵高炉セメント(株)が発足
2000年(平成12) 気泡グラウト材「エコセイバー」の製造販売を開始
2004年(平成16) SL事業部が発足
2012年(平成24) 日鉄住金高炉セメント(株) 日鉄住金高炉セメント(株)に社名変更
八幡製鉄所と高炉セメントの歴史リーフレット

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エスセイバーの充填モデル実験

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