セメント製品
高炉セメント
特長
高炉セメントは高炉スラグの働きにより普通ポルトランドセメントと比較して次のような優れた特性を持っています。
1.CO2削減等の環境負荷低減効率が大きい
高炉セメントは高炉スラグ微粉末(エスメント)を混合していますので、普通ポルトランドセメントに比べて、セメントを製造する際の石灰石使用量を削減でき、その脱炭酸や焼成用エネルギーに起因する炭酸ガスを削減できます。エスメントは、焼成の必要がないため、高炉スラグの分量が多い高炉セメントほど炭酸ガスの排出量を低減できます。
2.強度がよくのびる
高炉スラグの潜在水硬性により長期にわたって強度が増進し、普通ポルトランドセメントを凌ぐ強度を発揮します。
3.発熱が少ない
高炉スラグの水和反応に伴う発熱量は、クリンカーに比べて少ないため、高炉セメントの水和熱は普通ポルトランドセメントよりも少なく、スラグの分量が多いほど水和熱は少なくなります。
4.耐久性が向上する
高炉スラグの水和特性によって緻密で強固な硬化体をつくります。その硬化体は塩分の遮へい性、水密性、化学抵抗性に優れています。コンクリート構造物の劣化現象であるアルカリシリカ反応や塩害の対策として非常に有効で、構造物の耐久性向上のためにその使用が推奨されています。
種類
充実のラインナップで多様なニーズに応え、高炉スラグの特性を生かした製品づくりに努めています。
商品名 | 日本工業規格 JIS R5211 | 特長 | |
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種類 | スラグの分量 | ||
高炉セメント A種 |
高炉セメント A種 |
5%を超え 30%以下 |
高炉セメントの中では最も普通ポルトランドセメントに近い特性を有し、普通ポルトランドセメントとほぼ同様に使用されます。 |
高炉セメント B種 |
高炉セメント B種 |
30%を超え 60%以下 |
最も多く利用されている代表的な高炉セメントで、土木構造物や建築物に幅広く使用されます。アルカリシリカ反応の抑制、塩分の遮へい性、水密性に優れ、コンクリート構造物の耐久性向上に貢献します。 |
低熱高炉セメント B種 |
高炉セメント B種 |
30%を超え 60%以下 |
高炉セメントB種より水和熱を低減したマスコンクリート用の高炉セメントB種です。大規模な水路構造物や橋梁下部工、LNGタンクなどに使用され、温度ひび割れの低減に効果を発揮します。 |
ダム用高炉セメント B種 |
高炉セメント B種 |
30%を超え 60%以下 |
ダム用コンクリートに品質を調整した低発熱の高炉セメントです。これまでに130を超えるダムに使用されています。 |
高炉セメント C種 |
高炉セメント C種 |
60%を超え 70%以下 |
化学抵抗性や耐海水性に優れ、海水や下水などの作用を受ける施設や地中のコンクリートに適しています。 |
使用および施工に際しての注意点
コンクリート配合設計の際、同一スランプを得るための単位水量の目安として、普通ポルトランドセメントと比較して、高炉セメントA種は同等、高炉セメントB種は1~2%、高炉セメントC種は2~3%、それぞれ小さくしてください。
高炉セメントB種、低熱高炉セメントB種及び高炉セメントC種は、初期強度が低いため、普通ポルトランドセメントよりも所要の養生期間が長くなります。特に低温時は、強度発現が遅れるので、養生期間を延長するとともに入念な養生が求められます。
化学混和剤や膨張材などの混和材料は、普通ポルトランドセメントと同様に使用できます。ただし、配合によって適正使用量が異なります。
高炉セメントを使用したコンクリートの表面が初期材齢において青緑色になることがあります。これは高炉スラグの中に含まれる微量の鉄分の影響によるもので、コンクリートの品質には全く問題ありません。この色は、コンクリートの表面が空気に触れることによって次第に薄れていきます。
高炉セメントを地盤改良工事に使用する場合、条件によっては改良土の六価クロム溶出量が土壌環境基準を超える可能性がありますので、必ず事前の試験にて改良土からの六価クロム溶出量が土壌環境基準以下であることを確認された上でご使用下さい。
取扱い上の注意
ご使用になる前には、必ず製品安全データシート(SDS)をお読みください。
作業時には、適切な保護具(手袋、保護メガネ、防塵マスク等)をご着用ください。
水や汗などの水分と接触すると強いアルカリ性となり、皮膚、目、口、呼吸器等を刺激したり粘膜等の燃焼を起こす場合があります。万一、目や耳に入ったり、皮膚についた場合は、速やかに水で洗浄し、専門医の診察を受けてください。
また、誤って飲み込んでしまった場合は、速やかに新鮮な空気の場所へ移動し、水で口をすすぎ、専門医の診察を受けてください。